職業プログラマの休日出勤

職業プログラマによる日曜自宅プログラミングや思考実験の成果たち。リアル休日出勤が発生すると更新が滞りがちになる。記事の内容は個人の意見であり、所属している(いた)組織の意見ではない。

1日10分! 昼休みトランペット練習メニュー

久しぶりに記事を書いたと思ったら、情報処理技術的な話ではなくて音楽的な話です😅

我々の業界で在宅勤務が「普通」のことになってから1年半ほどが経過し、同業者の皆さんはすっかり慣れ切っているところだと思います。同業者の中に金管楽器を嗜む人がどれほど居るのかよくわかりませんが、この記事では、在宅勤務だからこそできる、昼休み楽器練習の練習メニューを記しておきたいと思います。もちろん、同業者ではない金管楽器奏者の皆さんにも参考にしてもらえたら幸いでございます🤗

なぜ昼休みに練習するのか?

  • 朝、仕事の前 : ねぼけてる or 身支度で忙しい。某アニメ映画のようには上手く行かないのが世の常。
  • 夜、仕事の後 : 疲れてる。楽器ケースを開けることすら億劫。そもそも間違って音を出すとすごい近所迷惑。
  • 昼、昼食の前 : 身体は目覚めているし、元気。昼食の前に楽器を吹くと良い感じにおなかが空いて、昼食がとても美味しく感じられるようになる。

という訳で、昼食の前というのは、短時間の楽器練習をする上では最高のタイミングなのです。
デメリットとしては、昼食で手の込んだ調理ができなくなったり、昼食後のくつろぎの時間が失われたりということがあります。まぁ、これらは微々たる問題であると言えましょう。

練習の目的

ただ闇雲に練習していては、効果半減です。目的を明文化することこそが人生を豊かにする秘訣だと確信しています。「明文化」と言っても、自分一人だけ認識していれば良いというだけの話であって、テキストに書き起こすことは必須ではありません*1。筆者の場合は以下の目的を持って練習しています。

  • 基礎体力を鍛える。
    • 息をたくさん吸う能力(≒ 肺活量)
    • 心肺能力*2
    • 唇やその周辺の筋力
  • 機敏に動けるようにする。
  • 音感を損なわない。
  • フレージングを忘れない。

練習メニュー

さて、本題です。練習メニューを晒しておきます。あくまで、現時点(2021年7月)の筆者の状況に合わせたものです。目的が変わったり、他の良い手法が見つかったりしたら改めていきます。

読者の皆さんが抱える課題は、きっと筆者のそれとは異なるはずであり、練習の目的も異なるはずです。目的が異なるならば練習メニューも異なるはずです。筆者の練習メニューをそのまま真似しても最良の結果からは程遠いものになるでしょう。前述の、筆者の「練習の目的」に共感した人だけが真似をすれば良いでしょう。目的に合わせて練習を設計しましょう。練習の設計が上手くできないのならば、師匠を探してきて師匠に教えを乞うべきです。よくできた師匠ならば、あなたの状況や課題に合わせた最適な練習メニューを組んでくれるはずです。それが、教本やCDではない生身の人間のレッスンを受けることの最大の利点のはずです。

楽器あたため+呼吸器のウォーミングアップ:1分

大きく息を吸い、息を楽器に吹き込みます。音は出しません。
夏場であっても、ケースから出したばかりの楽器は自分の体温よりも冷たいです。自分の体温に近づけつつ、呼吸器のウォーミングアップをします。

高い音の練習:1分

練習用ミュート(以下、単に「ミュート」と言う。)を使わない状態で、唇をなるべく振動させずに(=音を出さずに)、本当に吹いているようなアンブシュアで、吹きます。後述の「曲の練習」まではミュート無しで音も出しません。

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middle-F to high-F (in concert)

ここの練習では、この音域の中で適当に3度〜5度程度の跳躍をしたり、音階を吹いたりして過ごします。実際には high-F なんてそんな簡単には出ませんが、ここでは「出てるようなイメージ」を持つようにしています。唇が振動しなかったとしても、少なくとも息の圧力とアンブシュアという2要素においては high-F を吹こうとしている、という過程が重要です。
機敏さと唇周辺の筋肉の強化を目的としています。素早いブレスのための練習を兼ねることもあります。

12 keys の練習 : 3分

ここでもミュート無しにで音を出さずに吹きます。
ここ最近の題材は、アーバン金管教本の「最初の練習曲」の No.46 です。持ってない人向けに説明すると、使っている楽器のキー(多くの場合はB♭)の調から始まり、12個の調の全てで I - I - V7 - V7 - I - I7 - IV - I7 - (IV に相当する次の調へ転調) のコード進行での分散和音(アルペジオ) の練習です。一番最後のキーはスタートのキーと同じ(つまり13回やる)で、コード進行は I - I - V7 - V7 - I - I - I - I となっています。
最近だと 二分音符 = 132BPM のテンポで、6〜7個の調を一息で吹いています。1つの調で二分音符16個分の長さですから、計算すると約43秒〜50秒程度の間を一息で吹いているようです。途中で休憩を挟むと3分間程度の練習になります。
これにより、機敏さ(跳躍、タンギング)、心肺能力、吸う能力、音感、あたりの項目を一気に鍛えることができてお得です。

似たような題材として、同じくアーバン金管教本の「グルッペットの準備練習」の No.1〜2 や、「跳躍の練習」の No.1〜5 などの利用も考えられますが、これらは練習に要する時間が長くなってしまうことから、昼休みの短時間の練習には不向きです。逆に言えば、長い昼休みを取れる時はこれらを使うのも良いでしょう。

曲の練習 : 4分

ここで初めて、ミュートをつけます。筆者の場合はYAMAHAサイレントブラスを利用しています。
練習の題材は「ジャズ コンセプション」という教本です。

この教材の存在は、学生時代のトランペットの師匠に教えてもらいました。当時のバージョンでは、マイナス・ワン のCDは付属していませんでした。今では便利な世の中になったんですね。買い直そうかなと思っています。
この教材の説明としては、ATNさんのサイト の方が詳しいので、こっち見た方が良いかもしれないですね。

最近の練習では、この本の中から2曲、CDに合わせて吹いています。とは言っても、この本の終盤の数曲は激ムズすぎて筆者程度の練習量の人間には手も足もでないので、これらを除いた曲の中から2曲ということになります😇
これにより、唇周辺の筋力、タンギング、音感、フレージング、などが鍛えられることを期待しています。

リップスラー : 1分

最後に、金管楽器の訓練に欠かせないリップスラーの練習です。
機敏さと筋力に良い影響を与え、音色も改善し、なんとなくクールダウンした気にもなれます。昼食と午後の仕事*3に備えましょう。

補足:なぜ最初からミュートを使って音を出さないのか?

2020年初頭に外出自粛要請が出されてから、バンド活動が難しくなったことを受けて、自宅でミュートつけて多重録音し、多くの作品をYouTubeにアップしました。
www.youtube.com
こうして「ミュート付けて吹く」ことが当たり前になってしまったせいなのか、常時タンギングが強すぎる奏法になってしまいました。ミュートがついている状態だと、きちんと吹くためには強めにタンギングをしないといけないのです。
このことを実感したのは、「ハトと少年」を収録したときのことです。
youtu.be
この収録の前日、実はミュート無しでスタジオで収録していました。収録結果を自分で聞いて自分で唖然としたのです。「何だ、このきつ過ぎるアタックは!」と。そしてボツにして、慣れているミュートを使って翌日に収録して、ハトと少年の動画を公開しました。

このときから、ミュート無しで吹く時間をなるべく長く取るようにしたのでした。

さいごに:練習の成果

前述の通りではありますが、うまくなりました!!! お昼ご飯がとてもうまいです😋

*1:もちろん、書き起こした方が効果は高いと思います。筆者はこの記事を書くまでは書き起こしておらず、脳内で思い描いていただけでした。

*2:一息でどこまで長く吹けるかということ。通常は、トロンボーンやチューバ等の中低音の楽器では息の量がボトルネックで、トランペット等の高音楽器では身体が使う酸素の量がボトルネック。肺の中に空気が残っていても酸素が足らなくて苦しくなるという経験は、多くの高音楽器奏者にあるはず。これを防ぎたい。

*3:筆者の場合は14時頃に昼食を摂ることが多いので、練習開始する前の仕事の時点で既に午後です😅