ITストラテジスト試験を受験してきました。
この記事は、その記録です。
前回は2017年に受験しました → 記録
ITストラテジストとは
高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術を活用して改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。また、組込みシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/st.html
だそうです。2017年当時(前回の受験記で引用)から比べると表現が変わっていますね。
よく使われる言葉に雑に置き換えると、経営者が練った経営戦略に、情報処理技術的な立場からビジネスモデル全体の戦略を立てていける人、です。もっと雑に言えばITコンサルだとか、事業の責任者だとか、そんな位置付けの人ですね。この試験は、受験者がそんな位置付けの人間として相応しいかどうかを検査するテストです。
試験の形式
受けたこと無い人向けの情報。
- 午前1、午前2、午後1、午後2 の4つの試験全てにおいて合格点を出せば合格
- 午前1は、早朝起床試験。朝9時半に試験会場に居る必要があり、試験会場はとても遠いことがある。試験会場では情報処理の一般的な4択クイズを解くことになるが、真面目に仕事していれば楽勝のはず。午前1で合格したり、試験全体で合格すると、2年間は午前1を免除される。
- 筆者は2017年秋の試験で午前1に合格していたので、今回は午前1免除。
- 午前2は、受験する試験分野の専門知識の4択クイズ。ITストラテジストなら少しばかりの情報処理技術の話に加えて、経営戦略やらマネジメントやら会計やら法規制やら、いろんな知識を問われる。
- 午後1は、国語(現代文)のクイズ。4問から2問を選択。「30文字以内で答えよ」という形式の設問が多い。設問の半分程度は、問題文(本文)からのコピペと整形だけで回答可能。残り半分は知識が無いと難しいはず。
- 午後2は、小論文試験。3つのお題の中から1つを選択。設問アは800字以内、設問イは800字以上1600字以内、設問ウは600字以上1200字以内、という分量での論説。
試験前の生活
前回の反省を生かしつつ、以下のような生活を送りました。
- 9月上旬に参考書を買い、そこから午前2対策を実施しました。3日に2日程度の頻度で、1日30分程度できました。
- 漢字の練習および利き手の握力トレーニングを10月頭ころから真面目にやりました。ほぼ毎日15分以上できたと思います。
- 10月上旬頃から、午後2(小論文)試験に向けて、問題文を見て小見出し(章立て?)を考えていくトレーニングを開始しました。これは分量的にはそんなに多くはなく、過去問にして2年分程度です。
- 10月8日に、受験勉強に集中する旨の宣言をTwitterでして、追い込みをかけました。
このアカウントの中の人は、2019年10月20日に実施される「ITストラテジスト試験」に向けた勉強に集中することを宣言しています。万が一、遊んでいるのを見かけた場合は喝を入れて下さい。試験終了後は活(注: https://t.co/kJ9f53PIVA のこと)を入れてあげて下さい🙇♀️
— T.MOTOOKA (@t_motooka) October 8, 2019
- (前回と同じ)睡眠時間を削ると、当日、情報処理技術者早朝起床試験に不合格となってしまうことが過去の経験からわかっていたため、絶対に睡眠は削らないようにしました。午前1免除の身分であるとは言え、油断はなりません。
- (ほぼ前回と同じ)お腹を壊さないような食生活を心がけました。「普段食べないものは食べない」を徹底しました。前回は試験の5日前にバリウムを飲むというイベントを誤って設定してしまいましたが、今回はそれはありませんでした。
- 前日は夜9時から11時頃まで、競技プログラミングの AtCoder Beginner Contest 143 に出場していました。気分をリフレッシュさせることを目的としていましたが、散々な成績を叩き出してしまったので、とても不安になってしまいました😇
勉強の内容
午前2対策
通勤の電車の中で、このiTEC本の午前2対策の章をずっと読んでいました。
2019 ITストラテジスト「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)
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午前2対策としては、筆者にとってはこの本の内容だけで十分でした。
午後2対策
午後2試験を乗り切るには、次の4つの力が必要であると、筆者は考えています。
- 小論文を、普通の文章として仕上げる力
- 小論文の内容を、ITストラテジストらしいものにする力
- 時間内に文字を書ききる握力
- 漢字を書く能力
前者2つの力を鍛えるには他人のレビューがあった方が素早く正確に成長できるでしょう。しかし、スクールに通ったり添削を受けたりするのは、自力で最大限まで頑張って「なぜ午後2で落ちたのか理解できない」「次に何を改善すれば論文試験に通るのか分析すらできない」と思えるようになってからで良いかな、というのが筆者の考え方でしたので、今回も添削等は受けませんでした。
じゃあ自力でこれらの力を鍛えるにはどうするのかというと、各種参考書やIPA公式サイトに描かれているITストラテジストの人物像を自分の中に植え付けるようにしました。「自分はこんな人間だ」と言い聞かせました。効果のほどは合格発表で…。
それはさておき、小論文を普通の文章として仕上げるには、見出しをきっちり組み上げることが重要なんだろうと思います。これは前述の通り練習しました。
漢字は、2年前に購入した広田本の漢字練習コーナーを見ながら、ひたすら漢字を書く練習をしました。これは握力練習を兼ねています。
- 作者: 広田航二
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漢字の練習はとても効果があって、対策前では絶対に書けなかったであろう漢字もスラスラ書けるようになりますし、(APの午後ほどではないにしろ)時間勝負と言われる午後1試験の回答においても、わざわざ漢字を探さなくても回答を書くことができて時間の節約につながります。
午後1対策
APやらNWやら取ってきた筆者としては、もはや午後1試験というのは午前2の知識さえ充実していれば解ける問題なので、今回は一切対策をしませんでした。
前回の終了後は「午後1対策が弱かった」といった感想を抱いていましたが、今回午前2の対策を重点的に実施して思ったことは、前回は午前2の対策が不十分だったから午後1で苦しんだんだ、ということです。
当日の様子
午前2
今回は重点的に午前2の勉強をしたので、余裕を持って臨むことができました。
午後1
問1の貿易業務とRPAの問題と、問2の保険会社業務を選択しました。
問1は、問題を解く途中で貿易の実務の知識を問われるようになったら手を引こうと考えていましたが、設問を読み進めてもそのような気配は感じられなかったので、そのまま解きました。「信用状」なんか実務で取り扱ったことは一度もありませんでしたが…。。
問2は、倫理的な問題が問われるのかなー?と思いながら解いたのですが、一向に問われなかったので若干拍子抜けしたような感じです。筆者が気付いていないところで問われていたのかもしれませんが(汗
午後1の問2の健康データのやつ、回答に学習モデルの権利帰属問題と、個人の機微な情報の話について言及しようと思ったけども、文字数が足らなかった。一般的な回答をする方が午後1としては良いだろうから普通の回答をしたけど、コンサルの実務でこれらの懸念に言及しないことは絶対に有り得ない訳で。
— T.MOTOOKA (@t_motooka) October 20, 2019
問2を半分ほど回答したところで利き手が震えだしたので、午後2に不安を抱きました。
午後1終了後は菓子パンを食べて思考力回復。
午後2
問3は組み込みの話なので避けるとして、業務プロセス改善の問1か、ビジネスモデル設計の問2かで、どちらを選択するか少し悩みました。経歴的には業務プロセス改善の方が書き易いのですが、さすがに社外秘情報だらけな文章を書くのはつらいなーということで、ビジネスモデル設計の問2を選択しました。モデルは筆者が過去に実際にリードプログラマとして参画したプロジェクトですが、枝葉の数々はでっち上げです。
心配だった握力や漢字は、なんとかなりました!
前回は文字数要件を満たさずに採点すらされなかったので、今回はようやく採点されることになります。楽しみでもあり不安でもあります。
合格発表は12月20日だそうです。
午前2の結果
当日の午後8時台に正解が発表されたので、自己採点しました。25問中22問正解だったので、まあ楽勝ですね。