職業プログラマの休日出勤

職業プログラマによる日曜自宅プログラミングや思考実験の成果たち。リアル休日出勤が発生すると更新が滞りがちになる。記事の内容は個人の意見であり、所属している(いた)組織の意見ではない。

NHK受信料契約の解除

NHKの受信料契約を解除しました。6年振り2度目のことです。

自分の生活の中でのテレビの存在

関西にいた頃

これまで使っていたテレビを買ったのは2013年12月のこと。当時は関西に住んでいて、関西ローカルのテレビ局に勤める友人や、テレビ局の下請け仕事をしている友人たちの仕事の成果をこの目と耳と心に届けるべく、テレビを買いました。当時の家に住み始めて数ヶ月間は何事も無かったのにテレビを購入してから2週間後にNHKの人が来るという、NHKの受信料契約取り付け担当者は家電量販店さんまたは運送業者さんから個人情報の第三者提供を受けてんじゃないか疑惑が持ち上がるようなイベントも発生しましたが、NHKそのもののコンテンツはそこまで嫌いでもないですし、普通に契約しました。地上契約、年額13,990円です。

関東に来てから

昨年秋に関東に引っ越しして、ちらっとテレビを見ましたが本当に面白くない番組ばかりで、映画の地上波放映等の特別なイベントを除いては、NHKの番組しか見ないようになりました。

これは完全に主観ですし一部の例外はあるでしょうけれども、現代においてテレビ番組の有益さの序列は

関西ローカル番組 >>> NHK >>>>>>(越えられない壁)>>>>>>(越えられない壁)>>>>>>(越えられない壁)>>>>>>>> 民法の全国放送

なのです。
テレビ番組の制作の仕事をしていた時期が私にもありましたが、この私が言うんだから間違いありません(適当)。

自分にとってのテレビの価値は、関西にいた頃は色々あったけれども、今ではNHK以外には何も無いと言えます。
また、民放でもNHKでも、朝8時を過ぎた途端に吐き気を催すような話ばかりが流れてくる状態になるので、朝8時になると自動でテレビの電源がOFFになるように設定をしていました。夜はさっさと寝てしまう健康的な生活を心がけているため見ることはほぼ皆無でした。そう、我が家のテレビはおはよう日本を写すだけの機械、言い換えれば動的コンテンツで構成される目覚まし時計になったのでした。関西に居た頃から目覚まし時計としての役割はありましたが、向こうでは夜も時々見てましたから…。

衛星契約

クリスマスの頃の夜8時頃、仕事が終わって帰宅したところ、NHKの契約担当を名乗る人が訪問してきました。私自身とNHKしか知り得ない情報を口走っていたので正式なNHKの担当者または下請けの人物(僅かな可能性として、NHKにおける個人情報漏洩事件も考えられる)であることの確認が取れた*1ため真面目に話を聞いていると、どうやら私が住んでいる建物は衛星放送のアンテナ等の設備が整備されており、受信機(テレビ)がBS対応の機種なのであれば必ず、年額13,990円の地上契約から年額24,770円の衛星契約に切り替えなさい、という話でした。

確かに日本放送協会 放送受信規約第1条第2項によれば、前述の条件を満たしている状態であれば衛星契約に切り替える必要があります。私はこの放送受信規約に基づいて地上契約を既に締結していたため、この規約に従う必要があります。
しかし、衛星放送を受信できるという事実を知り得なかった私から、転居時点まで遡って差額を徴収するのはおかしいということで、2017年12月からの契約変更という内容にサインしました。
もうクリスマスということで下旬なのに12月1日からの分のお金を取るのはおかしいということで日割りにするように求めましたが、訪問してきた担当者は応じませんでした。規約の第5条3項 放送受信契約の種別に変更があったときの当該月分の放送受信料は、変更後の契約種別の料額とする。 に基づいた判断なのでしょう。私自身の体調が優れずに早く寝たかったことから、その場は引き下がり、後日NHK本体と戦うことにしました。

冷静になって考える

布団の中で、あれこれ考えました。
契約済みの規約に定められているとは言えども、この契約変更は特定商取引法の訪問販売に該当するものではないか?だとしたら特定商取引法 第9条に基づいて書面を提出すれば衛星契約にしなくても良いのではないか?、と。衛星契約になったところで、BSの番組で見たいものなんて無いですし、そもそもそんな時間はありません。
もっと立ち返ると、おはよう日本を見るだけのために年額13,990円のお金を使っていたこと自体、おかしいのではないか?という点に思考が及びました。閏年を考慮しない場合は1年365日で、おはよう日本の放映は年間およそ 365 / 7 * 5 = 260回程度と言えます。1回の放送に対して約54円のお金を出していることになります。まーこれは妥当な値段かなーと思いました。インターネット以外におはよう日本という情報源を持つことは重要です。しかし衛星契約だと年額24,770円ですから、1回のおはよう日本に対して約95円を支払うことになります。うーん、ちょっと高い。。下手すると私自身の健康で文化的な最低限度の生活が脅かされかねません。
別の視点に移ると、衛星契約と地上契約の差額は年額1万円と少し。年額1万円と言えば Office 365 Solo や、PhpStorm の個人ライセンス1年目GitHubの Developer プラン などに相当します。おはよう日本という一つの番組がこれらの製品と同じだけの価値を追加で私に提供してくれるのか?と考えたところ、答えはNoでした。

契約解除へ

翌朝、NHKのコールセンターに電話し、受信料契約の解除方法を問い合わせました。
解除するには、まず、テレビ等の受信機を全て撤去し、その事実を証明する書面(家電リサイクル法に基づいたリサイクル券など)を獲得してから出直してきてくれ、とのことでした。数年前(後述)と一緒だなーと思いながら、地域の家電リサイクル業者に連絡を取り、年明けにテレビを廃棄することにしました。


廃棄後、その旨をNHKのコールセンターに電話で伝え、契約解除のための書類上の手続きを開始しました。これから郵便事故等に巻き込まれたりしなければ、無事に契約解除です。

特定商取引法 第9条 に基づいた手続きは、私はまだ経験したことがありませんでしたので、この機会に経験しても良かったのですが、時間が足りませんでした。次に適用できそうな機会があれば、やってみたいと思います。

余談:テレビを廃棄する前に

年末年始の時間を使って、録画していた、ジョジョの奇妙な冒険 第3部アニメ を改めて見ました。私はこのアニメを合法的な手段でリアルタイムで見るために、オーストラリアから日本に帰ってきたのです。
テレビが無くなればこの録画は見ることができなくなるため、次に見るときはネットの有料配信または Blu-ray を購入しての視聴になるんだろうなーと思いながら、心を込めて見ました。
原作で一番好きなのはダービー(兄)の箇所ですが、アニメ版で最も印象深いのは花京院がザ・ワールドの能力を解明するに至るプロセスでした。あれは漫画で表現するのは無理で、アニメにしか表現できないものです。気になる皆さんは何らかの合法的な手段で見ると良いでしょう。

本件を通して改めて体感した教訓

本件から学べることは何か無いかな〜と思って考えてみました。当然のことではあるのですが、次のようなことが言えます。

既存のPU(Paid User : お金を支払っている顧客)の客単価を上げる活動をする際に、顧客が受ける価値が増えない形で強制的に値上げすれば、顧客は離れ、既存の売り上げさえも失う。

この感覚、仕事に活かしていきたいですね。NHKさんありがとう、と言えるようになりたいです。

…ということをブログの下書きに書いていたら、成人式の頃にこんなtweetが流れてきました。


下手に客単価を上げようとすると窮地に追い込まれるという事例は、探したら他にもあるかもしれませんね。

じゃあ客単価を上げるにはどうすれば良いのか?

やはり価格に見合った価値の提供が無ければ難しいでしょう。残念なことに、NHKに限らず動画コンテンツというのは視聴する側に時間的余裕が必要です。時間的余裕の無い顧客に対してコンテンツ量で攻めても効率は極めて悪いでしょう。チャンネルの1つや2つ程度の増加があっても焼け石に水です。こうした顧客の客単価を上げるためには、相当な工夫(努力ではない)が必要なのでしょう。きっと。
素人考えではオンデマンド型の配信に行き着くわけですが、NHKオンデマンドとして取り組みがあります。上手く行ってるんですかね??古い番組が見れなくなっている様子を見るとそれほど魅力的には見えませんが、年額1万円超の負担増で「衛星放送も観れるよ」と言われるよりは、同じ年額1万円超でNHKオンデマンド見放題のほうが圧倒的に魅力的に見えます。

クロネコヤマトが値上げして大幅増益したという話が最近のニュースの中では印象深いですが、あそこは顧客に対する絶大なる価値の提供がある訳です。

今後の生活

私はNHKラジオのリスナーではあるので、引き続きお世話になり続けることでしょう。この記事もNHKラジオを聴きながら書いています。

次に受信料契約を締結するのは、言い換えれば、次にテレビのある生活をするのは、生活スタイルが変わったときでしょう。結婚するだとか、シェアハウスに住むだとか、重病を患ったり重い障害を抱えて仕事ができなくなって生活保護での生活*2になったときとか、そんなときでしょう。関西に戻ったら改めてテレビを買うってこともあるかもしれません。

思い出話:前回の契約解除のときの話

前回契約解除したのは2012年6月のこと。オーストラリアに移り住む直前のことでした。
最初に問い合わせたときは、例によってテレビを破棄しなければ契約解除の手続きを開始することすら受け付けてくれないという対応をされました。
しかし、契約解除に必要な書類のやり取りをテレビの廃棄まで待っていては、2012年7月上旬には私の日本の家は無くなってしまいますので国際郵便のお世話になることになります。当時の担当者からは「日本国内の家族の住所を使って解約手続きをさせて下さい」と言われましたが、私には自分の居場所を伝えられるほど信頼できる家族など一人も居ません。家族の居ない人間は契約の解除すらできないのですか?それは人権侵害ではないのですか?NHKが自己の費用で国際郵便での対応をするべきではないのですか?と訊いたところ、テレビ廃棄前でも解約に必要な書類を郵送してくれたりしました。結果的には、契約解除は渡豪にギリギリで間に合いました。本件だけが原因という訳ではありませんでしたが、私にとってはオーストラリアでの生活を開始するよりも、日本での生活を終了させる方がずっと大変でした。

*1:通常は、訪問してきた人物が正式なNHKの職員または正式な業務委託先の人物であるかどうか、厳重に確認を取るべきです。身分証の番号等を控え、NHKのコールセンターに電話して正当な職員であるか否か確認をするべきです。詐欺等の被害の防止のためです。

*2:テレビの視聴が「健康で文化的な最低限度の生活」の一部であるならばの話です。私はそうではないと思っていますが。