職業プログラマの休日出勤

職業プログラマによる日曜自宅プログラミングや思考実験の成果たち。リアル休日出勤が発生すると更新が滞りがちになる。記事の内容は個人の意見であり、所属している(いた)組織の意見ではない。

目とコーヒー

先日、スターバックスでコーヒーを飲みながら本を読んでいると、二人組の女性客が入店してきて、店員さんに案内されながら筆者の隣の席に着いた。二人とも白い杖を持っておられる。恐らく目が見えないのだろう。

店員さんの行動を見る限りでは非常に慣れている様子で、商品の選択を促す際には点字のメニューを渡して放置ではなく(点字メニューが用意してあったとしたら、もちろんそれも素晴らしいことだが)、「どのような飲み物が欲しいのか?」を聞き出し、それに合う商品をいくつか提案し、その中から注文を取るということをやっておられた。
それ以外にも座席への誘導の仕方や会計の手順、商品の引き渡しなどにおいても理にかなった行動を取っておられた。これらの行動は「助けてあげたい」という精神だけではほぼ不可能だろう。この店員さんが相当の経験を積んできているか、きちんとした教育をうけているかのいずれかであることは容易に想像できる。スタバ凄い。

二人組のお客さんも、凄い。
テーブルの上に置いてある物の位置を、きちんと記憶しているようだった。コーヒーの容器を倒してしまわないか心配していたが、そんなことは無かった。
硬貨も紙幣も、識別して数えることができていた。硬貨は練習すれば識別できそうな気もするが、紙幣は難しそうだ。2016年9月にオーストラリアで 新しい $5 紙幣 が発行され、今後発行される紙幣では "Intaglio"(凹版印刷)で生じる突起によって、目が見えなくても紙幣の識別が可能になる、という話があった。日本の紙幣にはこのような機能は無いはず。どうやって識別していたのだろう…?

もしかすると、これらは盲目の方々にとってはできて当然のことなのかもしれないが、凄い。

筆者には、身近なところに盲目の方は居られないし、自分自身に何か進行中の病気がある訳でもないが、プログラミングという視覚が重要になる仕事をしている以上、盲目になることは怖いことだと認識している。少し前に音楽仲間と酒を交わしたときも「目が見えなくなるのと耳が聞こえなくなるの、どっちが怖いか?」ということが話題に上がったが、その場にいたミュージシャンも全員「目だなー」という意見を持っていたのは印象的だった。

過去にはこんな発言もしていた。


使える時間には制限があるけれども、人の為だけでなく自分自身の為にも、徳を積んでおきたいところだ。

退学後のキャリア形成と12年後の状態について

この記事は、12月1日から25日まで、学校を退学した人・する人などが記事を続けざまに投稿していく「退学 Advent Calendar 2016」の15日目の記事です。
www.adventar.org

筆者は大学(学部)を中退しましたが、それから10年以上が経過しても生き延びることができています。
これまでに起きたことなどと適当に掻い摘んで書いていきますが、退学したばかりの人、退学しようかどうか悩んでいる人、そんな方々の参考になれば幸いです。

続きを読む

「〆切本」を買った

歴史に名を残す作家・小説家が「〆切」とどう向き合ったのかの話を集めた本、「〆切本」を買った。

〆切本

〆切本

我々が日常的に使う言葉「進捗ダメです」をプロの作家さんが書くとどのようになるのか?
潔く醜態を晒け出すのか、それともあれこれ理由を付けて逃げ切るのか。

まだ読んでいる途中であるが、学びが多い。
納期に追われる皆さんにもオススメの一冊だ。

Cocoa勉強会関西 第70回 に参加してきました

cocoa-kansai.connpass.com

直前まで参加できるかどうか怪しい状況でしたが、どうにか都合をつけることができました。
そして、どうせ参加するなら喋りたい!ということで、少しばかり喋ってきました。

喋った内容

Code Signing(コード署名)についての話でした。
どちらかといえばMac寄りな内容ですが、コード署名という作業が必要なのはiOSMacも同じです。コード署名でトラブルが発生するのはアプリをリリースする直前であることが多いのですが、慌てて適当に操作して「何かよくわかんないけどもできちゃった」で終わりにしてしまう人は多いですし自分もそうでした。きちんと基礎を学ぶことで、再現性のある仕事をできるようになりたいと思い、このテーマを取り上げました。

他の方の発表

  • iOS10でリモートプッシュ通知をできるだけ簡単に送る by STUDIO SHIN さん
  • もうすぐはじまるATS必須化について by niwatakoさん
  • 統計から見るアプリユーザーの姿 by niwatakoさん
  • iOS10からこっそり使えるApp Extensionの「これが欲しかった」オプション by niwatakoさん
  • Sparkle で Mac アプリを自動アップデート by kanizaさん

資料は冒頭にリンクを貼ったconnpassのページとかからリンクされている、かも。
全体的に、証明書だとか暗号化の話題の多い回でした。


次回は2017年2月11日の予定だそうです。

おまけ

#SVG で スクラッチくじ を作ってみた

この記事は、SVG Advent Calendar 2016 の3日目の記事です。

SVG Advent Calendar には、このような記事も過去に投稿しています。


さて。
年末ということで、宝くじ や 占い、それに類するものに興味をお持ちの方も多いかと思います。私自身はそのようなものは好きではないのですが、くじ等を作る側(射幸心を煽る側)の人間として各種法令を遵守しながら立ち回ることは嫌いではありません。ここでは、くじを作る側の人間として、SVGでスクラッチくじを作る手法を紹介したいと思います。

まずは完成品のご紹介

さすがにブログ記事の中でJavaScriptを動作させるのはどうなんや…ということで、別のサイトにHTMLファイルを置くという形でご紹介いたします。
f:id:t_motooka:20161127134448p:plain
https://www.tmotooka.com/svg_scratch.html
このページにアクセスすると、銀色(実態は灰色ですが)の部分をマウス操作やタッチ操作で削ることができ、削ると隠されていたメッセージが表示されます。
「もう一度 くじ を引く」ボタンを押すと、銀色の覆いは元に戻り、中のメッセージはランダムで切り替わります。

こすったときに何が起きているのか?

まず初めに、SVG画像としては、銀色の覆いの向こう側には、あとで表示されることになるはずのテキストのメッセージが描かれています。その手前のレイヤに、銀色の長方形が描かれています。

JavaScript のコードでは mousedown mousemove touchstart touchmove などのイベントを捕捉し、マウスカーソルの位置やタッチ位置を把握しています。
その動いた軌跡を、ある程度の太さの線分で結び、その線分で描かれた領域だけ銀色の覆いが非表示にする、ということを mask という機能を使って実現しています。

mask とは

SVGで描かれている内容のうち、指定した領域を透明にすることができます。領域は、<mask>で囲まれた内側で、通常のSVGと同じように描くことで指定することができます。白く塗り潰された領域は描画され、黒く塗り潰された領域は透明になります。
mask の適用先では mask="url(#{mask要素のid})" という形で適用するべきマスクを指定します。

詳細な説明は、こちら。
Clipping, Masking and Compositing – SVG 1.1 (Second Edition)

銀色の覆いをカスタマイズしてみる

クラッチの仕組みは、くじではなくプリペイドカードなどにおいても頻繁に用いられます。そのようなものの中には銀色の覆いに対して模様を描いていることもあります。
今回紹介したスクラッチくじでも、そのような模様を描くことが可能ですし、実は少し修正するだけで模様を登場させることが可能です。
f:id:t_motooka:20161127142717p:plain
ソースの中に path id="wave" と書かれた部分があると思います。この要素の stroke="none"stroke="#000000" に変えることで、3本の黒い波線を表示させることが可能です。この path はmask適用している <g> タグの内側に居ますので、削る操作をしたとき、銀色の覆いと一緒に削れていきます。

何故これを作ったのか?

今年の8月に、名古屋のWeb界隈の皆様の集まり「WCAN」主催のイベント「WCAN mini 2016 Vol.2 SVG Maniax in NAGOYA」に参加してきました。
wcan.jp
このときの参加レポート: 名古屋のSVGイベントに参加してきました - 職業プログラマの休日出勤

参加レポートには書いていませんが、この懇親会においてどなたかが「SVGでスクラッチくじとか作れたら面白そうだよね」という発言をされていました。このとき私は十分な量のお酒を頂いていたので誰の発言だったのかを思い出すことができないのですが、ここで私は「実装するぞ!」という宣言をしたことだけは覚えています。それから忙しい日々が過ぎる中で「早く SVGクラッチくじ を作りたい」という想いは募る一方でした。

このときの約束を果たすことができて、私は幸せです。

さいごに

紹介した SVGクラッチくじ はMITライセンスにて利用許諾しています。皆さんも、許諾の範囲内でこれを生かし、世界中の多くの人を楽しませるような くじ を作って下さい。
楽しみにしています!