音楽の重要な構成要素の一つ:コード(chord)。
※プログラムのコード(code)とは綴りが違うのでご注意を。この記事で言及する「コード」は全てchordの方である。ちなみに「電源コード」のコードはcordである。
楽譜を作る際にも、クラシックや雅楽などの一部のジャンルを除けば、コードの種類を示す「コードネーム」を記すのが一般的である。例えば、こんな感じ。
さて、移調楽器の楽譜だと、どのようになるのだろうか? B♭トランペットを例にとって見てみよう。Finaleの「五線ツール」を使って、譜面にB♭移調の指定をしてみると…
同じ曲の楽譜なのに、コードネームの基音(ルート)まで一緒に移調されてしまった。これは、移調しない楽器で記入したコードネームを移調楽器の楽譜にコピペした場合も同じである。確かに、世界にはそのような文化(⇒移調楽器の楽譜には移調されたコードを記載)を持つクラスタも存在するし、それはむしろ多数派であるように思われる。しかし、日本では(少なくとも筆者の身の回りでは)、音符は移調するがコードネームは移調しない(⇒inCの)楽譜に慣れている人が多い。
上記の譜例2のような移調楽譜であれば、移調楽器の奏者は移調された音符のみを演奏すれば良いのだから、大して問題にはならない。
ところが、大きな問題はすぐにやってくる。例えば、ジャズなどにおけるインプロヴィゼーション(アドリブ)の場合だ。通例、楽譜はこのように書かれる。
譜例3:
これでは、移調されたコードネームに慣れていない奏者はイチコロだ。もう少しわかりやすくするために、リズム・セクションも楽譜に登場させると…
演奏が難しいばかりか、バンド内の会話も成り立たなくなる気がする。「G7の小節、何か音おかしくね?」と言っても、脳内トランスポーズ(移調)しなければならないのだ。
やっぱり、次のような楽譜をパパッと作りたい。
もちろん、頑張って移調楽器のキーごとにコードネームを打ち込んで行けばできるのだが、プレイバック(再生)かけた時にトンデモ音が鳴り響くのには注意が必要だ。
コードネームのみを移調させる方法
残念ながら、今のところこの方法は見つけられていない。「楽譜スタイル」で移調無し指定する方法は調号も一緒に変わってしまうから×。
プラグインで処理する方法は?
こちらも残念ながら、今のところ見当たらない。ただ、プラグイン開発者向けのサイト Finale Plug-ins Developer's Corner を見つけたので、これを参考にしながらプラグインでも作ってみようかな〜と考え中。日本国内なら需要あるよね?
筆者のFinale環境
以下の環境で動作確認などを行っている。「違う環境ならできるよ!」などの情報は大歓迎。「その環境でもできるよ!」ももちろん歓迎。
- Finale 2010
- MacOS X 10.6.8