8月のとある土曜日に、IELTSという英語のテストを初受験してきました。
そして先日、採点結果を受け取りました。決して自慢できるようなスコアを取った訳ではありませんが、記事は堂々と書きます(キリッ
IELTSとは
このテストはTOEICとは違い、Listening, Reading, Writing, Speaking の4科目があり、各科目1点から9点まで0.5点刻みで評価されます。イギリスやオーストラリア等へ留学したり長期的に住んだりするには、このテストである程度のスコアを取る必要があります。
Australiaの場合、就労ビザ(457)を獲得するには4科目平均で 5.5 以上のスコアが必要であると言われています(もっとも、昔は英語要件は必須ではなかったのですが、今年の7月から厳格化されました)。永住権の申請であれば 7 とか 8 とかが必要になります。状況によっては4科目の平均点(Overall)ではなくて4科目のうち最も低いスコアが評価に使われることもあるようです。
また、試験は2種類あり、申し込み時に「Academic」と「General Training」を選択することになります。ListeningとSpeakingは両方の試験で共通ですが。これらのうちどちらを選択するべきかは、スコアを何に使うかによって変わってくるのでよーく注意する必要があります。難易度は後者のGeneral Trainingの方が簡単だと言われることが多いですが、個人差があります。もちろん筆者のように語彙が特殊な領域に偏っている人間にとっては前者のAcademicの方が簡単でしょう。
筆者のバックグラウンド
最後に英語の試験を受けたのは、2012年1月にTOEICを受けたときのことです。その時のスコアは660点で、Listeningが285点、Readingが375点という、かなり偏った結果でした。
実際の英語スキルの方も、RFCや各種OSSのマニュアルの英語はそれなりに(たぶん)読めていた一方で、聞き取りはほとんどできず、話す機会に至っては全く無い状態でした。あ、あとは小説とか読むときはチンプンカンプンでした。そう考えると、TOEICのスキル評価はかなり妥当なところを突いているのではないかと思います。
少し話は逸れますが、日本人プログラマの皆さんの大部分は似たような英語スキルなんじゃないでしょうか?(Listeningがダメダメで、お堅い系の文章のReadingならそこそこ、って感じの…)
その後、2012年7月からAustraliaに滞在しています。滞在していると言うと皆さん英語漬けな生活を想像するかもしれませんが、就職先が日系の会社だったりすると日本語を使う機会も非常に多いのです(泣)。こんな生活をしていると、会話は上達すると言うよりかは、日常で使う表現をスラスラ言えるようになるだけなのです。
依然として、スキルはReadingに偏っている状態だと言えます。
試験前にどのような勉強をしていたのか
さすがに危機感を覚えた筆者は、7月中旬から語学学校に通い始めました。
普通の語学学校に行くとReadingやWriting、文法などの時間がそれなりの部分を占めてしまいます(こういった課程を General English「一般英語」と言います)。それだと筆者にとって無駄が多いので、会話を主体とする授業をやってくれるところに入りました。「会話を主体とする」課程にもいろいろありますが、筆者は「Callan Method」と呼ばれる手法を取り入れているところを選択しました。これは、やや難しめの単語や用法とその説明がぎっしり詰まっている教科書を、先生が超早口で生徒に説明や質問をして、生徒はそれを聞いたり質問に回答することで会話能力と語彙の両方を伸ばしていく、というものです。
1970年代に考案された教育法だそうで、教科書の中には時々めちゃくちゃ古い英語表現に出くわすこともありますが、それもまた一興。
あとは、試験勉強としては、IELTS対策本を買って、Reading以外は一通り流し読みをして、付属している模試のうちListeningとSpeakingの問題を解いた、くらいです。このIELTS対策本を使った勉強は合計で4時間程度でしょうか。今更ではありますが、もう少しIELTS特有の勉強に時間を割いた方が良かったかな、とも思います。
(友人に質問されたので追記というか挿入@2014.02.05)
使ったIELTS対策本は、これです。紀伊国屋書店 Sydney店で買いました。
- 作者: Anthony Allan,片岡みい子
- 出版社/メーカー: ジャパンタイムズ
- 発売日: 2010/09/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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(追記ここまで)
受験直後の感想と予想スコア
Listening
全40問中、どうしてもわからなくて勘で答えたのが4問、もしかしたら間違ってるかなー、というのが4問程度。32問正解だとして、スコア換算すると 7.0 くらいになるかな、という感触でした。
2chのIELTSスレでも話題になっていた Garden Street の問題は、もちろん聞き取れませんでした(泣)「Gで始まる1〜2音節の単語」というレベルでしか聞き取ることができず、勘で回答しました。
Reading
全40問中、時間が無くて勘で答えたのが1問、True/False/NotGivenを選択する問題で、NotGivenかどうか微妙で自信が無いなーという感触だったのが4問、それ以外で自信の無いものが2問程度。33問正解だとして、こちらもスコア換算すると 7.5 くらいになるかな、という感触でした。
3つのパッセージとも非常に面白い内容ばかり(GeckoとStickyBotの話、米国の図書館の歴史の話、乳幼児の画像認知の話)で、楽しむことができました。1時間の試験時間が終わった瞬間は「これは行けた!」と思ったものです。
Writing
Task 1 では非労働人口が全人口に占める割合について、5カ国の最近の実績値と2050年の推計値とを比較する棒グラフでした。書く内容をグラフから読み取れる内容だけに絞ると内容が薄いので150語にギリギリ届く程度しか書くことができません。グラフに無い情報を答案に書いて良いものかどうかわからなかったのでそれは書かず、ギリギリ150語で書きました。もしかすると単調な文章になっていて、語彙の点数が低かったかもしれません。
Task 2 では、大学教育にかかる費用を政府が負担するときのメリット(advantage)とデメリット(disadvantage)はどちらがより重いのか、という問題でした。第一段落では結論を書き、第二段落ではadvantageを並べ、第三段落ではdisadvantageを並べ、第四段落では再度結論を書き、更に政府がこのような政策を取る場合の注意点を書くという構成で回答しました。たぶん280語くらい。
どんな文章を書いたらどんなスコアになるのかという知識はほとんど持ち合わせていませんでしたが、たぶん 6.0 以上は行ってるだろう、という感触でした。
Speaking
緊張のあまり、口の中がカラッカラに乾いてしまうという状況の中での受験でした。
Part 1 の単純な質問は、回答中に言い間違いを訂正したり、試験管の英語が聞き取れなかったときに聞き返したり、という小規模なトラブルはあったものの、学校での訓練の成果もあり、それなりに答えることができました。
Part 2 のスピーチは、問題文が何を問うているのか理解できず、かなり動揺しました。諸先輩方からは「抽象的な質問が来るよ」と言われていましたが、ここでやっと実感が湧きました(遅い!)。動揺のせいで、かなり詰まりながらの回答になりました。そしてこの回答はきっと的外れだっただろう、という感触でした。
回答内容は…トランペットの練習をすることの素晴らしさをひたすら語る、というものでした(笑)。スピーチが終わったとき、試験管に「続きは無いの?」と聞かれて、回答しようとしたけどネタ切れで回答できなかったという事件も発生しました。
Part 3 の、Part 2 の回答内容に関する質問は、動揺の影響もあり Part 1 ほどスムーズではありませんが、まあ何とか会話として成立できる状態かな、という状態でした。
緊張の中でも喋れるようになったというのは、学校での訓練の成果であると思います。
スコアはPart2のボロボロ具合から考えて 5.0 程度だろうな、という感触でした。
実際のスコア
Listening
7.0 取れてるだろうと思っていた Listening、フタを開けてみると 5.5 しか取れていませんでした。
何をどう間違えたのか、さっぱりわからない状態です。もしかしたら地図問題の序盤を聞き間違えて全滅してるとかが、かな?
こうも予想と実際が乖離していると、日常の英会話も、聞き取れているつもりのものが実は誤解だったということが結構あるのかもしれません。そう思うと非常に恐ろしくなってきました。
ジョジョの奇妙な冒険の第三部、DIOの館に入った直後の承太郎のセリフに「この謎を解けなかったら、負けるぜ、奴に」といった主旨のものがありましたが、まさにそのような状態です。この感覚と実際の乖離の謎を解かなければテストの点数が伸びることは無いように感じます。
Reading
7.5 取れてるだろうと思っていた Reading、フタを開けてみると 6.5 しか取れていませんでした。
Listening同様、何をどう間違えたのか、さっぱりわかりません。
Writing
6.0 以上かな?と思っていた Writing、実際に 6.0 でした。
上に掲げた自己評価通りの評価でこのスコアだったら良いのですが…。
これからスコアを上げるには、Task 1 向けのテクニックを習得する必要があるなぁ、というところです。具体的には
- グラフの表現に関する語彙を広げる
- 語数の多い表現を覚える
- グラフから読み取れない内容を書いても良いのか否かの確認(これはもはや英語の学習という範囲の外の話ですが)
ということをやっていかなければ、と思います。
Speaking
5.0 程度かな?と思っていた Speaking、実際は 6.5 も取れていました。
本来なら喜ぶべきところなのでしょうけど、かなり予想外なことなのです。
もしかすると、思っていたよりも「回答が質問への回答として適切かどうか」という要素に対する配点は低かったのかもしれません。
と、こんな感じでスコアそのものではなく、予想と現実に乖離がある点にかなり(自分自身への)不満がありますが、Overallで6.0となり、457ビザの申請に最低必要な5.5を上回ったということで、少しほっとしたところでもあります。
噂話:試験会場による採点の違い
よく噂されることの一つに、WritingやSpeakingについては、試験会場によって採点基準にかなり相違がある、というものがあります。以前からよく聞く噂だったのですが、具体的にどこが甘くてどこが厳しいのかは知らずに受験してきました。
受験後に学校の先生にこの噂について聞いてみたところ、やはり先生達の中でも、どうやらそうらしい、という説が一般的なんだそうです。
筆者が受験した会場は Wynyard駅のすぐ上にある Navitas という大規模な語学学校でした。先生によればこの会場は、IELTS標準通りの採点を厳格に実施しているそうです。メジャーな語学学校としてのプライドもあるんでしょうね。資金力があるからこそ実現可能なことなのかもしれません。
一方で、Sydney市街地から電車で南へ1時間半から2時間くらいのところの Wollongong という街にある Wollongong大学 では、かなり激甘な採点がされているらしいです。なんでも、同一人物が同じ時期にこの会場とSydney市内の会場とで受験したら、Speakingの点数に2ほど開きが出たケースもあったとか。「どう甘いのか?」など、詳細は不明なところではありますが、どうしても Writing/Speakingで苦しんでいる人は試してみる価値はあるんじゃないでしょうか?