職業プログラマの休日出勤

職業プログラマによる日曜自宅プログラミングや思考実験の成果たち。リアル休日出勤が発生すると更新が滞りがちになる。記事の内容は個人の意見であり、所属している(いた)組織の意見ではない。

ウェアラブルコンピュータに期待していること

参加しているバンドの演奏会が今週末に迫っています。このバンドはおよそ週1回のペースで練習しているのですが、未だに顔と名前を覚えられない方が何名がおられます。
流石に知り合って数年経過しているような方々とか、知り合ったばかりでも以前からお名前をお伺いしていた方々とかは覚えられるのですが。。

どうやれば覚えられるのか電車の中で必死に考えた結果、覚える必要は無い!という結論に至りました。そう、記憶ならコンピュータの方が得意に決まっています。(まあ、後で再考した結果、この結論は覆されることとなったのですが…。)

これまでの情報管理

せいぜい、名刺などの文字情報を管理する程度ではないでしょうか。顔写真と紐付けて管理することは極めて稀です。
なぜ稀なのか…というと、

  • 初対面の人に「顔写真を撮らせてくれ」とお願いするのは気が引けるし、倫理的に不安が多いから
  • もし撮影OKな状況だったとしても、そのために端末を取り出したりするのが面倒臭いから

という二つの理由を挙げることができます。

ウェアラブルコンピュータ(Wearable Computer)とは

人によっては「ウェアラブルデバイス」(Wearable Device) と呼んだりもするようですが、これらが意味するのは、身につけて使うコンピュータのことです。iPhoneAndroid端末などももはや「身につける」ものであるという意見もありますが、ここで言う「身につける」とは、眼鏡や腕時計のような形で身につけることを指します。
身につけるということは、使いたいと思ったときにサッと使えるということになります。
ということは、眼鏡型など顔に装着するタイプのウェアラブルコンピュータであれば、前述の

もし撮影OKな状況だったとしても、そのために端末を取り出したりするのが面倒臭いから

という現状の問題点の一つをクリアすることができるでしょう。

情報は記録するだけでは意味が無い

ウェアラブルコンピュータに期待しているのは、人の顔と名前を覚えることだけ、ではありません。次にその人に会ったときにその人であるということを認知すること、までを期待しています。
iOSiPhone / iPad 等)に限った話をすると、 iOS 5 で導入された CIDetector などによって顔検知が可能となりました(より正確な表現をするならば「容易になりました」ですが)。でもそれは「画像の中のこの場所は、人間の顔っぽいよ!」というのを教えてくれる「顔検知」だけの機能であって、「この顔はAさんの顔っぽいよ!」という識別をする「顔認識」ではありません。
iOSでさえ未だ搭載していない(たぶん)の顔認識機能を、それよりも更に小型となるウェアラブルコンピュータがすぐに実現するとは考えにくいところでもあります。
※Macでは、iPhotoで顔認識を実装してますね。筆者は利用していませんが、かなりの高精度で認識できているらしいです。

セキュリティ上の懸念

初対面の人に「顔写真を撮らせてくれ」とお願いするのは気が引けるし、倫理的に不安が多いから

この懸念は、どうでしょうか?解決できますでしょうか?
技術が進歩して、前述のような使い方でウェアラブルコンピュータを使えるようになると、さっと思い付くだけでも以下のような懸念が思い浮かびます。

  • ストーカー行為を助長する
  • 探偵(悪い意味の)や殺し屋などへの参入障壁が下がる(人を覚える能力が低くても務まるようになる)
  • Android向けに時々登場しているような、情報を吸い上げるアプリが登場する

こう考えると、ウェアラブルコンピュータのある社会は怖いなーという気になります。
技術的にはそんなに極端に難しい話でもない内容のはずなのですが、こういった倫理面の壁はとても高いものです。
更に、昨今の数々の個人情報関連の事件や、この記事で体験したことなどを鑑みれば、日本の大企業の面々がこういった倫理的な問題をきちっと処理できるとは考えにくいものがあります。尚更、期待できません。
筆者自身としても、こういった技術が世に送り出されたとして、どういう実装や法整備をすれば「まともな」運用がなされるのか、良いアイデアは今のところ浮かんできません。困った。

最後に

…ということは、やはり、当分の間は人の顔と名前を地道に覚えていくしかないようです。
そろそろ java.lang.OutOfMemoryError、投げても良いですか…?