土曜日の夕方、在シドニー総領事館にて参議院選挙の投票をしてきました。
投票するには、在外選挙人登録を事前に済ませる必要がありました。登録したときの話はこちら→ 登録申請時 登録完了時
投票に必要なもの
- 身分証明書 : パスポートが基本ですが、その他の身分証明書でも受け付けてくれるような感じでした。例えばNSW州のPhotoCardとかでも行ける…かもしれない。。
- 在外選挙人証 : 在外選挙人登録を済ませたときにもらえるやつ
投票の流れ@総領事館
総領事館に到着すると、以下のものを渡されました(一度に、ではないですが)。係員さんの指示に従いながら記入したり封をしたりして提出すると、投票完了です。およそ10分くらい(体感時間)。日本国内で投票するのとは、少し違うだけで、ほとんど同じですね。
- 投票用紙の請求書:在外選挙で投票する方法の一つに、投票用紙を請求して郵送で投票する、というものがあります。おそらくその時に使われている請求書と同じなのでしょう。もしかすると、日本の選挙管理委員会の立場で考えると、国民が在外公館で投票しようが郵送で投票しようが、いずれにせよ投票用紙を請求してもらわなきゃ困るような法制度になっているのかもしれません。
- 自分の選挙区の選挙管理委員会宛に郵送するための封筒:以下の投票用紙などは全てこの封筒に入れられて、選挙管理委員会に送付されるようです。
- 選挙区の投票用紙:当然ですね。噂によると、裏面には在外投票である旨の表記がなされているそうですが、筆者は確認し損なったため、これは噂話の域を出ません。なお「自分の選挙区」は、よほど昔に日本を出たのでなければ、日本に住んでいたときの最終居住地になります。
- 選挙区の投票用紙を入れる内袋:これは、単に投票用紙を入れる袋です。封をすることができ、封をすると(しなくても)中身の投票用紙が透けて見えたりしないようになってます。
- 選挙区の投票用紙を入れる外袋:これは、内袋を入れる為の袋です。この外袋には投票者の氏名や在外選挙人の登録番号などを記入します。
- 比例区の投票用紙/内袋/外袋:これらの構造などは選挙区のものと同じです。
投票の流れ@投票後(推測)
日本国内の選挙管理委員会には、上記の 投票用紙 in 内袋 in 外袋 in 郵送のための封筒 という形で票が届くことになります。これを1人の人で開票作業してしまうと、外袋や郵送のための封筒には投票者の情報が書かれているので、日本国憲法第15条4項に定められる秘密選挙を護ることができなくなってしまいます。
そのため、恐らく開票時にはこのような作業をやっているのではないか?と推測することができます。
- 係員Aが、選挙管理委員会に届いた郵送用封筒を全て開封し、外袋全てを係員Bに渡す
- 係員Bが、選挙区および比例区の投票用紙の外袋を全て開封し、内袋全てを係員Cに渡す
- 係員Cが、内袋を全て開封し、一般の投票所の票と混ぜる(または混ぜずに集計する)
ここで、係員Aと係員Bは同一人物(またはグループ)であっても構いませんが、係員Bと係員Cは同一人物であってはなりません。複数人数で作業する場合は、ただの1人も重複していてはなりません。
という訳で、少なくとも2人の係員が開票に関わることになります。
土日も開いてる
有り難いことに、この投票期間中、在Sydneyの総領事館は土日も開けて下さっています。筆者が投票したときはおよそ10人ほどの係員の方が居られました。恐らくあの係員の方々は投票受付終了まで休み無し…。
開票(日本の選挙管理委員会)側にしろ在外公館側にしろ、法に定められた国民の権利を守るためには、やはりカネがかかりますね。
ネット選挙?
日本とは違って、ここは海外。
選挙カーが通ることも無ければ(非常に素晴らしい!!)、街頭演説も一切ありません。もちろん、選挙公報がポストに入ってるということもありません。
投票用紙に正確に記入するため?の、立候補者名簿は総領事館に置いてありましたが、政策を見ずに政党名と氏名だけの情報で自分の意図通りの投票をすることは極めて困難です。
事実上、候補者の情報はインターネット経由でしか入手することはできません。
今回の選挙は「ネット選挙」ということで、各政党や各候補者がネットを通じて情報発信できるようになりました。それで海外における情報の不足は大分解消されるかな、と思っていました。ところが!
公的機関が提供する正式な立候補者のリストがなかなか手に入らないのです。筆者の日本での最終居住地は大阪ですので大阪の情報を調べようとしたのですが、 大阪府/第23回 参議院議員通常選挙 候補者・名簿届出政党等情報 くらいしか見当たらないのです。ワープロソフト(恐らくWordでしょう)で作成して、印刷したものをスキャナでスキャンしてPDFにしたという、鼻で笑いたくなるような形式でしか公開されていないのです。
この「ネット選挙」という語が、候補者や政党向けの意味にとどまらず、行政がまともな形式で必要な情報を発信すること、をも指すようになることを、心の底から願っています。
そして、その先の将来では、ネットでの投票が実現することも期待したいところです。