職業プログラマの休日出勤

職業プログラマによる日曜自宅プログラミングや思考実験の成果たち。リアル休日出勤が発生すると更新が滞りがちになる。記事の内容は個人の意見であり、所属している(いた)組織の意見ではない。

扶養義務地獄から逃れられるか? その2

「その1」は こちら

扶養義務の強化?

こんなニュースが流れて来た。
橋下市長、扶養義務巡り制度改正の必要性強調(読売新聞)
これ以外にも扶養義務を強化(不履行時の罰則規定や強制徴収の仕組みの創設)を謳った意見は多く見られるけど、どれを見てても恐ろしくて仕方が無い。これって、親類のあらゆる行為に対してハンコを押さずとも連帯保証人になって無限責任を負う、というのとほぼ同じじゃないのかな。
例えば…

親類A「資産を全て使い果たしてしまった。定収入も無い。扶養してくれ」
自分「扶養義務があるから仕方ない。n万円/月だけ援助してやろう」

数ヶ月後…

親類A「博打で負けまくって借金も抱えてしまった。借金取りが来て怖いから返済しながら生活する必要がある。それには2x万円/月の援助が必要だ」
自分「扶養義務があるから仕方ない。2n万円/月だけ援助してやろう」

さらに数ヶ月後…

親類A「もっと博打で負けまくって借金も抱えてしまった。借金取りが来て怖いから返済しながら生活する必要がある。それには4x万円/月の援助が必要だ」
自分「扶養義務があるから仕方ない。4n万円/月だけ援助してやろう」

単純に考えると、これが自分の経済力の限界まで繰り返される可能性が出て来ることになる。こんな感じで、親類にクズ人間が一人でも居ればそれで人生終了だ。努力して築き上げた資産も全て水の泡だ。

どうしても扶養義務を強化するのなら

こういった制度と共に施行すれば、万が一親戚がクズ人間だったとしても被害はある程度のところで留まり、善良な市民の一部は救われるかもしれない。(もしかすると、いずれも既に存在するかもしれない。気付いてなかったらごめんなさい。)

  • 被扶養者に対する行動制限 … 前項では博打を例に出したが、生活とは無関係に資金を浪費するような行動を厳しく規制する仕組みが必要だ。被扶養者がその制限を破るようであれば見殺しにしても構わないといった罰則と共に。
  • 扶養義務の基準額 … 資産/負債/収入 といった項目から「x万円/月負担すれば扶養義務を履行しているものと見なす」という基準を設けるのはどうだろう。これで、扶養義務履行者の経済的破綻のリスクを押さえることができるはずだ。

で、どうするのか?

こんな感じで規則を増やしていくとどうなるか? 制度が複雑になり過ぎて回らなくなる状況はやはり容易に想像できる。例えば被扶養者に対する行動制限として、扶養義務履行者に対して被扶養者を監禁する権利を与えたとすると、とある監禁の正当性を確認するのはかなり大変で、役所の人々は手が回らなくなるだろう。
前回と同様、やはり「BIに期待」してしまう。

(おまけ/予想)扶養義務強化は少子化「促進」へ

扶養義務強化の結果「親類にクズ人間が一人でも居ればそれで人生終了」だとすると、それは親類が一人でも増えることは高いリスクを伴うということになる。
ところで、親類が増えるイベントの代表格と言えば婚姻だ。増える親類の中にクズ人間が居ないかどうか徹底的に調査する人は増えるだろう。こういった調査そのものは昔からよく行われていた事とは言われているが、調査の結果、お断りの返事を出すかどうかの閾値は扶養義務のリスクの分だけ上がる事になる。
その結果、婚姻に対するハードルは飛躍的に高くなり、少子化を促進してしまうのではないかと予想する。