昨日、金管楽器奏者の方々と管の長さについての話題になったので、計算方法などを書き留めておきたいと思います。
読むには高校の物理で習う「気柱の振動」の知識が必要ですので、「もう忘れたよー」という方は わかりやすい高校物理の部屋:気柱の振動 こういったサイトで復習してきて下さい。
計算の前提条件
以下の文中では、このような条件で計算しています。
- 空気中の音速:345メートル毎秒(気温23℃くらいのとき)
- 基準音 A=442Hz
- 高2病全開!(開口端補正を無視)
平均律
計算に入る前に、調律法について知らなければなりません。調律法とは簡単に言うと音の並べ方のことです。ドの音の周波数がxHzだったとすると、ド♯の音は何Hzにするべきか、という感じですね。
平均律とは調律法の一つで、最もよく採用される調律法の一つです。音は1オクターブ上がると周波数が2倍に増えます(これは調律法に関わらず普遍、のはずです)が、平均律では音が半音上がった音の周波数を、元の音の周波数に2の12乗根だけ乗じたものになるように定義します。12回だけ「半音上がる」とオクターブ上がる訳ですから、ちょうど周波数が2倍になって辻褄が合いますね。
従って、平均律の計算をするには2の12乗根の値を求める必要があります。
2の12乗根の値
ggrks
というのは、非常に的を得た話です。
http://www.google.co.jp/#hl=ja&sclient=psy-ab&q=2%E3%81%AE12%E4%B9%97%E6%A0%B9&oq=2%E3%81%AE12%E4%B9%97%E6%A0%B9
Google先生は 1.05946309 という答えを教えてくれました。
プログラミング初心者の方へ
C言語には pow という関数がありますね。他の言語にも似た機能を持つ関数があるはずです。使ってみて下さい。
手元にあったJava環境で計算した値は、 1.0594630943592953 でした。
プログラミング初心者の方の中で、好奇心旺盛な方へ
近似値を求めるアルゴリズムっていろいろあるので、それらを使って2の12乗根を計算するのも面白いです。ぜひやってみましょう。
僕は面倒くさがりなのでやりません(笑)
この記事では、計算用に (2の12乗根)=1.059463 としておきます。
B♭トランペットの管の長さ
チューニングB♭(記譜音で、第3間のドの音)は、基準音 A=442Hz の半音上です。この音は
442Hz * (2の12乗根) ≒ 468.28Hz
となります。
トランペットの基本振動はこの音の2オクターブ下になりますので、その周波数は
468.28Hz ÷ 4 = 117.07Hz
となります。
この基本振動の波長は、音速は 345メートル毎秒 であることから
345m/s ÷ 117.07Hz = 2.95m
となります。
トランペットは開管の構造ですので、基本振動しているとき管の長さは(高2病全開ですので)半波長と同じになり、
2.95m ÷ 2 = 1.48m
ですね(かなり誤差まみれな計算ですが)。
おまけ:人間の耳に聴こえないほどのハイノート
人間の耳の可聴域は20Hzから20000Hzくらいと言われています。
この20000Hzという音をB♭トランペットで吹くには、どれくらい頑張ったら良いのでしょうか。
チューニングB♭(記譜音で、第3間のドの音)は前述の計算の通り 468.28Hz ですね。
これのオクターブ上(ハイB♭:初心者でも数ヶ月間真面目に練習すれば吹けることもある)が 936.56Hz
これの更にオクターブ上(ダブルハイB♭:吹ける人がバンドに1人居るか居ないか、くらい)が 1873.12Hz
これの更にオクターブ上(トリプルハイB♭:吹ける人が世の中には居るらしいが、僕は聴いた事無い)が 3746.24Hz
これの更にオクターブ上(クアッド?ハイB♭:吹ける人は世の中には居ないだろう)が 7492.48Hz
これの更にオクターブ上(???ハイB♭:吹ける人は居ないはず)が 14984.96Hz
これの完全5度上(Fの音)が 20002.52Hz
結論:無理。