職業プログラマの休日出勤

職業プログラマによる日曜自宅プログラミングや思考実験の成果たち。リアル休日出勤が発生すると更新が滞りがちになる。記事の内容は個人の意見であり、所属している(いた)組織の意見ではない。

#プロジェクトマネージャ 試験受験記 2018

プロジェクトマネージャ試験を受けてきました。
この記事は、その記録です。

プロジェクトマネージャ試験とは

プロジェクト全体の意思決定を実行し、品質・コスト・納期に全責任をもち、前提・制約条件の中でプロジェクトを確実に成功に導き、プロジェクトメンバを成長させるマネージャを目指す方に最適です。

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html

だそうです。
論述試験を課している高度試験の中では、実務として携わっている人口は最も多いのではないでしょうか。
ちなみに、友人からも質問を受けたのですが、この試験の名称は「プロジェクトマネージャ」であって、決して「プロジェクトマネージャー」ではありません。ご注意下さい。表記の由来は昔のJIS規格であり、業界の慣習でしょう。

前回2017年秋はITストラテジスト試験を受けていました。そのときの記録はこちら

試験前の生活

試験の2週間前から、2日に1回程度の割合で、1回あたり30分〜1時間程度の時間を使って参考書を読む生活をしていました。その中では、午後2試験の論文を書くテクニックを身につけようとしていました。特に、前回受験したITストラテジストとの違いについて学ぼうとしていました。
前日は4時間確保して、漢字の練習(握力の鍛錬)と、午前2試験の平成29年分の過去問を解きました。

午後2の学習の手応えはあまりなかったものの、前回受験時よりは漢字をかけるようになったり握力が強くなったりした実感があったので、とても喜ばしかったです。午前2試験は72点取れたのでもう大丈夫だろうと思いました。

やたら短い勉強時間ですが、やはりこの試験はプロジェクトマネージャという職を全うしながらでも学習時間の確保をできるかどうかの試験なのです。非常に難易度が高かったです。

生活面では前回と同様、

  • 寝不足状態は絶対に作らない
  • おなかを壊すようなものは食べない

を徹底しました。この点は大成功です。

学習に使った本の紹介

特に他の本と見比べた訳ではないので他書との比較は全くできませんが、ジャケ買い(?)したコイツと共に過ごしました。

情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2018年版

情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2018年版

全部読んだ訳ではないのでなんとも言えないのですが、他の論述試験とプロマネとの違いについて解説してある箇所は一生懸命読みました。

試験会場到達実技試験

午前1試験は免除だったので早朝起床試験には合格していたのですが…



はい、とにかく大変でした。

会場での様子

会場には午前1免除な受験者が続々とやってくるのですが、その様子を眺めている途中で、ちょっとしたトラブルが…


Tweetなのでだいぶ省略していますが、具体的な会話の流れはこんなもんです。

  • 受験者「午前2試験って何時から部屋に入れますか?」
  • 係員「わからないですねー」
  • 受験者「いや、見積でも見込みでもいいから教えて欲しいんですけど」
  • 係員「状況によって変わるんで、なんとも言えないです」
  • (中略:こんなやり取りがあと2往復くらい)
  • 受験者「いやいや、予測くらいつくでしょ」
  • 係員「んー、午前1試験が終了してから5分後とか10分後とかじゃないですかね? 答案用紙の回収が終わるまでは入れないですよ」
  • 受験者「はい、ありがとうございますー」

まず、午前1免除者であるならば少なくとも1度は情報処理試験を受験したことがあるはずであって、その時の運用の実態を記憶できていないというのは良い状態とは言えません。本当に1度受けただけなら仕方がないとも言えますので、まあこの点は置いておきましょう。「受験票に書いてあるからそれ見ろよ」ってのはありますが。

それで、この建屋はプロジェクトマネージャの試験のみが開催される建造物でしたので、当該受験者もプロジェクトマネージャ受験者だったはずです。
このプロジェクトマネージャが実務において、チームメンバが「作業がいつ終わるかわかりません」と報告してくる状況下で「見積を出せ」と言い続ける様子は想像に難くありません。きちんとしたプロジェクトマネージャであるならば、作業終了の見通しが立たないことに対して分析をし、進捗阻害要因を取り除くように活動することが求められるのです。この受験者はもしもまかりまちがって試験に合格することがあっても、このチームと一緒には仕事はしたくないですねー。

午前1

*免除*

午前2

マーク式の4択問題が25問あって、15問以上正解していたら合格です。
解いた直後は「まーなんとかなるかな」程度の感想でしたが、夜に自己採点したらちょうど15問正解ということでギリギリ突破でした。危ない…

午後1

3問中2問を選択する、記述式の試験です。
問題の構成は

  • 問1:SaaS(Software as a Service) を利用した営業支援システムの導入プロジェクト
  • 問2:システム開発プロジェクトの品質管理
  • 問3:情報システム刷新プロジェクトのコミュニケーション

というものでした。
問題を3つとも読む時間は無いので、よほど難しい場合を除いては業務経験に近いものをタイトルから選ぶのが筋だと思っています。明確に経験があるのはSaaSで、残り二つはどちらもトントンと言った状態でしたが、わずかな差でコミュニケーションを選択しました。

難しかったのは問3の設問2の(1) 本文中の a に入れる適切な軸を答えよ。 でした。受託企業A社には社長とB課長の二人が居て、発注元企業P社とのステアリングコミッティ(偉い人同士の会議)にA社からは誰を出席させるべきか?という問でした。ステアリングコミッティの通常の意義からは社長を召喚するものですが、問題文中には社長がプロジェクトに関わっている様子が一切見受けられなかった(見落としてたらゴメン!!)ため、ステアリングコミッティだけ参加させても「木偶の坊」(でくのぼう)になるだけで役立たずになると判断し、B課長と回答しました。さて、どっちなんでしょうね?

次に難しかったのは問3の設問3の(2) 本文中の下線4について、Y主任が検討するプロジェクト管理に関する理解を深める活動とは何か。35字以内で述べよ。 という問題です。文中に答えが埋もれてるタイプの問題ではない(見落としてたらゴメン!!)ので、受験者の知識や考えを問う問題です。ここで私は素直にPMBOKの勉強をすることと、プロジェクトマネージャ試験の受験をすること、みたいなことを書いて経済産業省に忖度してみました。さて、結果や如何に…?

午後2

2問中1問を選択する、論述式の試験です。
問題の構成は

  • 問1:システム開発プロジェクトにおける非機能要件に関する関係部門との連携について
  • 問2:システム開発プロジェクトにおける本稼働間近で発見された問題への対応について

というものでした。
実務経験としてはどちらもそこそこ、ちょっとだけ非機能要件の方が上かなーと思って問1を選択しようとしましたが、よく考えたら非機能要件は私が独断で決めていたり、顧客企業の情シス担当者(偉い人)と二人で酒を飲みながら決めたり、といった経験の方がずっと多くて(いずれのプロジェクトも結果は上手くいくのですが、プロセスとしての成熟度合いは極めて低く、望ましいものではないですね)、問題文にあるような「きちんとした」対応の経験はそれほどありませんでした。そのため小論文は書きにくいと判断し、問2を選択しました。

問2で挑む上での最大の障害は何と言っても…


そう、胃が痛くなることなのです。まあ、上記のようになんとかしましたが。

書くネタには事欠かないので、あとは書くだけです。
ここからは握力試験であり漢字検定試験なのですが、本当に大変でした。そして今回初めて、時間内に規定の文字数を満たす形で論述試験を終えることができました!!!
この試験のために漢字の手書きの練習とかやって、本当に報われた気がします(今回は1日だけでしたが)。
勝因は、筆圧を落とすようにコントロールできるようになったことかもしれません。とにかく、利き手がバテることを防ぐようにしました。「手が疲れた」と思ったらそのまま筆を進めるのではなく、ちょっと休憩してからまた書き始めるようにしたのも効果があったと思います。

さいごに

合格発表は2ヶ月後あたりになります。通ってますように。