職業プログラマの休日出勤

職業プログラマによる日曜自宅プログラミングや思考実験の成果たち。リアル休日出勤が発生すると更新が滞りがちになる。記事の内容は個人の意見であり、所属している(いた)組織の意見ではない。

還付金でパンプキン!〜認証のお話〜

タイトルは言いたかっただけです。すみません。

10月31日、世間がHalloweenで盛り上がる中、私は確定申告に追われていました。昨年9月まで豪州に居た訳ですが、豪州の年度は7月始まり。所得税の計算も7月始まり。そう、2013年7月から2014年6月までの分の所得について確定申告しなくてはならないのです。その確定申告の締切は10月31日。"Trick or Treat?" なんて言っている場合ではありません。trick() || treat() なんてコードを書いているヒマもありません。

Australiaの確定申告

確定申告は英語で「Tax Return」と言います。よく言われることですが、「return」だからといって必ずお金が返ってくる訳ではありません。追徴課税されるケースもあるそうです。辞書で「return」を調べると、かなり下の方に「申告する」というような意味のものが登場すると思います。

確定申告は日本のように税務署へ出向く必要も無く、Webで完結します。去年は専用の Windows / Mac アプリをインストールしてそこから申告する必要がありましたが、今回は便利になりました。面倒なので私は使いませんが、スマートフォンタブレット端末からでも申告できるようになっているようです。
※もちろん、特殊なケースに該当する場合は別途連絡を取ったり、Tax Officeに出向いたりする必要もあるようですが。

認証

確定申告に必要な事項をWeb上のフォームに打ち込んでいって…という様子は多くの方が容易に想像できるかと思いますが、「どうやって個人を識別しているの?」という疑問を抱かれる方も多いでしょう。
Australiaでは個人を識別するための納税者番号 TFN (Tax File Number) が個人に割り当てられます。これは国民だけでなくAustralia国内で納税の義務を負う人全てに割り当てられます。この番号がないと(合法的には)就職もできません。アルバイトでも必要です。ちなみに、法人には ACN (Australian Company Number) や ABN (Australian Business Number) が割り当てられ、法人を識別することができます。

では、Webでログインしてきた人がそのTFNの持ち主本人であることは、どうやって確認するのでしょうか?
図も無しに説明をするのは至難の業ではありますが、可能な限り解説しましょう。

利用者はまず、myGov というサービスでアカウントを作成します(私も昨日作成したばかりです)。このサイトは確定申告に代表されるような、Webで完結する行政サービスを国民や居住者に向けて提供するためのポータルサイトです。
利用者がmyGovにアカウント作成してログインすると、次に、そのmyGovアカウントにリンクさせる行政サービスを選択します。税務、年金関連、退役軍人向けのものなど、いろいろあります。今後も増えるのでしょう。
税務のサービスをリンクさせようとすると、本人確認のために次のような項目を訊いてきます。

  • TFN(必須)
  • 名前や生年月日など(必須)
  • 勤め先からの過去の総所得額(選択)
  • 過去の所得税還付に使用した銀行口座(選択)
  • 利用している年金運用事業者のABNと、そこでのアカウント番号(選択)
  • 固定資産の何かの番号(選択)

TFNが必須なのは当然ですが、選択のものから2つを入力しなければリンクを作成することができませんでした。これは初めて就職なり渡豪なりした人は詰んじゃうんじゃないかと思いながら、私自身は通過することができました。

えっ、これだけで本人確認できちゃうん?という印象はあります。本人だけでなく家族や勤め先の人も簡単に通過できそうな感じです(それを防ぐべきかどうかというのは別の議題)。結局は日本の税務署での本人確認だって「そんなんでええのん?」というようなものですし、仕方ないのでしょう。


日本

ところで、日本の e-Tax って息してるんですか?

リンク先のドメインuketsuke.e-tax.nta.go.jp とか clientweb.e-tax.nta.go.jp とか、名前解決できないんですが…


まとめ

ぼぼぼ、ぼく、還付金が返ってきたらパンプキン買うんだぁ〜


書籍の紹介

自力で取る!オーストラリア永住権

自力で取る!オーストラリア永住権

この手の制度って年々変わって行くので、Kindle版の書籍で情報を得るというのは全うなことなのかもしれません。


日本を脱出する本

日本を脱出する本

これは数年前に紙バージョンで読みました。個別の事案についての内容としてはちょっと弱いですが、広く浅い知識を身につけるにはちょうど良いのではないかと。


※こんな本を2冊紹介してますが、この記事の作者本人は、しばらくは日本に居るつもりです。