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職業プログラマの休日出勤

職業プログラマによる日曜自宅プログラミングや思考実験の成果たち。リアル休日出勤が発生すると更新が滞りがちになる。記事の内容は個人の意見であり、所属している(いた)組織の意見ではない。

議論のできる組織へ

「議論」とは参加者が意見を出し合い、論じ合うことです。(善し悪しは置いといて)組織が独裁体制であればこんなものは不要なのですが、そうでない多くの組織では大なり小なり議論というものは必要であって避けて通る事はできません。
議論の場では意見を闘わせることになり、時には激しい言葉なども飛び交いますが、一理ある意見が飛び交う分には大きな問題は無いでしょう。問題は、議論を成立させることを拒む人達が居ることです。意図してのこともあれば意図せずのこともあるでしょうが、彼らの発言力や発言権を剥奪しないのであれば組織は正常な意思決定ができなくなり、やがて潰れるか独裁体制に移行するか、といったところになるでしょう。

体験談

私が2012年3月末まで所属していた楽団では20数名が所属しており、交響楽団などのような大所帯ではありませんが、楽団の意思決定の度に全団員の意見を訊いて回るのは非現実的です。そこで間接民主制とも言えるような制度で運営していました。年1回、5名程度の「幹部」を選出し、その幹部に楽団の運営や意思決定を委任する形です。私自身もその幹部の職を何年間か務めてきました。
そんな中、2012年3月中旬、楽団の存続を脅かす大事件が発生します。その事件の詳細は本題とは無関係なので触れませんが、その場は多くの楽団員の努力もあって、何とか危機を脱しました。
事態が落ち着いてから、4月からの新年度の幹部を決定する必要に迫られました。

選出制度

楽団の規約では、年に1度、幹部を選出するように定められていましたが、そのような方法で選出するのかについては何も規定されていませんでした。
例年は前年度の幹部が次年度の幹部を「提案」し、それの承認を求めるという形式が取られてきて上手く回っていましたが、この時は「大事件」の事後措置を巡って意見が分かれていたこともあり、「提案」よりは「選挙」の形式を取る方が好ましいと判断し、その準備を進めました。

選挙をやるとは言っても、その制度は整備されていませんので、まず設計をする必要に迫られました。その際は次のような点に気を付けました。

  • どのような選挙制度であれば公平に「団意」を反映できるのか(いかにして死票を減らすか)
  • 票がキレイに二分されて決着がつかない場合、どのようにして決着をつけるのか
  • 候補者の持つ政策を、どのようにすれば団員に効率良く伝えることができるのか

この設計の役割は、3月末で団を抜ける私だからこそ公平なものを作ることができると信じ担いました。

選出制度への反応

ところが、設計した制度を公表すると、次のような批判や質問が飛び込んできました。

  1. 話し合いで全て解決するべき
  2. 団を抜ける人間が、団の未来を決定する動きに手を出すとは何事か!
  3. 候補者が二人の場合、どちらも過半数を取れなくても票の多い方が当選なのか?

1が実現可能であれば言うことはないのですが、現実的には不可能です。もちろん選挙は「銀の弾丸」ではないのですが、話し合いで決着が着かない時は使わざるを得ません。
2は、次年度の幹部を公平に決定するまでが前年度の幹部の仕事ですから、全く的外れな話であります。「団を抜ける人間が、投票権を持つとは何事か!」という批判ならまともに聞こえるものですが。
3は、もう質問の内容自体が意味不明なのですが、その口調から怒っているという雰囲気だけは伝わってきます。

結局、私は2を理由としてこの団の意思決定の場からは追い出される形になりました。この2の批判を実際に口に出してきた人は一人だけだったのですが、やはり声の大きな人の意見が通るものです。
去る前に、1の批判に対するきちんとした回答を提示したかったものですが、それをする機会もありませんでした。残念で仕方ありません。

議論を乱す者に遭遇したら

さて、前置きがかなり長くなってしまいましたが、ここからが本題です。
議論の場において、先に挙げたような実現不可能な要望や的外れな批判、意味不明な怒りの言葉を投げつけてくる人と遭遇した場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

対処は大きく4種類に分けることができるでしょう。

  1. あたかもまともな意見を受領したかのように装うが、その後で丁寧に批判する。
  2. その意見を無視する。
  3. その意見を出した者を追放する。
  4. その組織から去る。

理想はもちろん対処1なのですが、時間的余裕や精神的余裕が無いこともあるでしょう。相手に悪意がある場合も上手く行きません。
そんな場合は対処2を選択することになりますが、声の大きな人の場合は難航します。
対処3を取りたくなることもありますが、その組織の中に追放の規定が無い場合は上手く行きません。

これらのいずれの対処もできない場合は、対処4、自ら去ることになります。

国全体となると…?

もしも貴方が国会議員だったとして、議場の中に議論を乱す者が居たとしたら、どうでしょう?
対処4「その組織から去る」ことは国会を去ることだけでなく、日本から去ることを意味します。去ること自体は簡単でも、他国で生活の基盤を構築するのは非常に大変なことです。そして何よりも、残された善良な国民が可哀想です。現実的に使うのが難しい手段ということになります。
ここはやはり、対処1のような「大人の対応」が必要になってきます。
そう考えると、国会議員というのは非常に大変な職業ですね。「割に合わない」仕事の一つかもしれません。

ところで、日本では明日、衆議院議員総選挙の投票日です。
国の代表を決める大事な選挙なのですが、端から見ていると、政策論争(議論)があってしかるべきところ、またいつものようにデマ拡散や揚げ足取りが繰り返されているように感じます。
これでは、声の大きな人が非常に有利ではありませんか。

政策から投票先を決めるのが難しいと嘆いておられる有権者の皆様、ここは一つ、「まともな議論ができてるかどうか」という観点で候補者を評価してみてはいかがでしょうか?